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荒俣宏氏を基調講演講師にお迎えし東洋大学で開催!!
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南方熊楠は、熊野の山の中に神秘を見た。
それは自然と人との悠久の関わりを護り、次世代へと伝えるべき神聖な歴史として認識した、熊楠の哲学であった。
日本人のもつ自然観の原点を南方熊楠のエコロジー思想を通して考える。


【日時】

 平成25年10月12日(土) 13:30~

【会場】
 東洋大学 井上円了ホール
      東京都文京区白山5-28-20 
      東洋大学白山キャンパス5号館

【内容】
 〇基調講演
 「熊楠と紀州的自然観 ―東北的自然観との比較をみつめて」
  講師:荒俣 宏 氏(博物学者・作家)

 〇研究発表
 「『南方曼陀羅』の新次元へ ―理不思議と大不思議―」
  唐澤 太輔(早稲田大学社会科学総合学術院・助教)

 「南方熊楠の修養法」
  野村 英登(東洋大学TIEPh研究員)

 「南方熊楠の比較説話研究と大蔵経 ―『田辺抜書』の黄檗版抄録の意義について―」
  増尾 伸一郎(東京成徳大学教授)

 「南方熊楠と紀州田辺」
  安田 忠典(関西大学准教授)

 〇パネルディスカッション
  司   会:田村義也(南方熊楠顕彰会常任理事)
  パネリスト:荒俣 宏、唐澤 太輔、野村 英登、増尾 伸一郎、安田 忠典

【その他】
 観光PR、南方熊楠顕彰会オリジナルグッズ・書籍販売等企画中!

主催:南方熊楠顕彰会・東洋大学「エコ・フィロソフィ」 学際研究イニシアティブ(TIEPh)
協力:田辺観光協会
協賛:紀南文化財研究会 ・ 南紀生物同好会 ・田辺市熊野ツーリズムビューロー
後援:和歌山県・田辺市

東洋大学TIEPhホームページ

田辺観光協会ホームページ

 
◎講演要旨・講師・発表者のご紹介
◆基調講演
「熊楠と紀州的自然観 ―東北的自然観との比較をみつめて」 
 熊楠といえばエコロジーといわれるほど浸透したイメージがありますが、この度発生した3.11災害をはじめ、自然=神という場合の荒御霊にあたる災害部分を、今後私たちはどのように対処していけばいいのか、東北にも登場した自然観の探究者たちとの比較をまじえながら、熊楠をベースにして、自然との付き合い方を探ります。 
荒俣 宏(博物学者・作家)

1947年東京生まれ。
慶応大学法学部卒業。都市災害小説ともいえる『帝都物語』で文壇デビューし、以後、博物学を中心に執筆活動を展開する。愛知万博グローバルハウス・ナビゲーター、名古屋開府総合プロデューサーなどを歴任。多摩美術大学にて博物学の美術史を研究中。 
 
◆研究発表
「『南方曼陀羅』の新次元へ ―理不思議と大不思議―」 
 那智山麓における「さびしき限り」の暮らしの中、南方熊楠の思想は最も深化した。そして生まれたのが、いわゆる「南方曼陀羅」である。この奇妙な図には、熊楠の自然観・神観が隠されている。「南方曼陀羅」は主に五つの要素(エレメント)から成り立っている。「物不思議」「心不思議」「事不思議」「理不思議」「大不思議」である。これまで多くの研究者たちがこの「曼陀羅」の解釈に挑んできた。しかし、それらは「事」「物」「心」の各「不思議」までの解釈に留まっていたように思われる。残る二つの要素「理不思議」と「大不思議」とは一体何なのか。また両者の関係はいかなるものなのか。これらについて突き詰めた研究は今までほとんどされてこなかった。本発表では、この「理不思議」と「大不思議」を中心に述べる。
 人間の知が辛うじて及ぶ領域(直接的推理・予知・第六感によって捉えられる領域)―それが「理不思議」である。そして「事」「物」「心」「理」全てを包み込み、また全てを生み出す根源的な場が「(大日如来の)大不思議」である。「大不思議」こそ、まさに「生命そのもの」「自然そのもの」なのである。
唐澤 太輔(早稲田大学社会科学総合学術院・助教)

1978年、兵庫県神戸市生まれ。
2002年、慶應義塾大学文学部卒業。2012年、早稲田大学社会科学研究科修了(博士〔学術〕)。専門は哲学・生命倫理学。2008年、第1回南方熊楠研究奨励事業・助成研究採択(研究課題:南方熊楠「夢」に記述に関する研究―「やりあて」と関連させながら―)。2009年~2011年、日本学術振興会特別研究員(DC-2)。2009年、「ひらめきと創造的活動のプロセス―南方熊楠の「やりあて」に関する考察を中心に―」で「涙骨賞」(中外日報社)並びに「小野梓記念学術賞」(早稲田大学)を受賞。2013年現在、早稲田大学社会科学総合学術院・助教。論文に「南方熊楠の夢の世界」(『アジア遊学』144、勉誠出版、2011年)、「精神世界の探求」(『別冊太陽・南方熊楠―森羅万象に挑んだ巨人―』、平凡社、2012年)などがある。

 
「南方熊楠の修養法」 
 「わしなんかこうして、この部屋にジーと坐っていても、ちっとも淋しいとは思わぬ。昼でも夜でも、好きな時に、昔馴染の娘でも、後家さんでも、呼び出すことができる。……たとえばじゃネ、一ツの粘菌の発見でもじゃ、……一種の霊感によって、これはと思う物を採集して来る。するとメッタに間とは外れぬ。……また吾輩が旅行から帰るとき、汽船が田辺から数丁の所まで来ると、家で何も知らず寝ている妻の耳に、平常通りわしの声で、今帰ったとはっきり聴きとれる。そこで妻は戸を開けて待っているのじゃ。こんなことぐらいは、ちょっと修養ができてる人間なら、誰にでもできる心霊現象じゃ。」
 以上は、南方熊楠が65歳になる昭和5年に、訪問者に語った言葉として記録されている。霊を呼び出すことや、千里眼やテレパシーを使うことが、天才熊楠ならぬ凡人の我々にもできるという。熊楠の考えていた修養法がどんなものだったのか、考察してみたい。
野村 英登(東洋大学TIEPh研究員)

1973年山口県生。 東洋大学大学院博士後期課程修了、博士(文学)。財団法人交流協会日台交流センター専門職、東洋大学共生思想研究センター研究助手を経て、現在は二松学舎大学・法政大学講師、花園大学国際禅学研究所客員研究員、東洋大学「エコ・フィロソフィ」学際研究イニシアチブ研究協力者。 中国哲学、特に修行論を研究。身体技法に関係する研究としては「民国初期の武術と内丹―呼吸法の近代化をめぐって―」(田中文雄・テリークリーマン編『道教と共生思想』所収、大河書房、2009年)、『からだの文化―修行と身体像―』(共著、五曜書房、2012年)、『エコロジーをデザインする―エコ・フィロソフィの挑戦』(共著、春秋社、2013年)など。
  

「南方熊楠の比較説話研究と大蔵経
 ―『田辺抜書』の黄檗版抄録の意義について―」

 南方熊楠は14年間に渉った欧米での研究生活を切り上げて明治33年(1900)に帰国すると、熊野・那智山中で隠花植物や茸類の採集・調査を3年間続けた後、紀伊・田辺に居を構えた。日露戦後の地方改良事業の一環として打ち出された神社合祀政策に対して、自然環境と地域文化保全の立場から精力的に反対運動を展開する一方で、自宅近くの法輪寺から黄檗版大蔵経を借覧し、1911年春から約3年半にわたって、ほぼ連日抄録を進めた。
 「田辺抜書」と呼ばれる帰国後の抄録は合計61冊を数えるが、黄檗版の抄録は20冊分、4,000頁に及ぶ。全体の約3分の1,500余種の仏典を、多忙を極めた時期に熱心に書き写し、要約し、注記を加えたのはなぜか。
 帰国後の執筆活動の重要な課題となった比較説話研究の諸論考は『十二支考』をはじめとして、文字通り古今東西の厖大な文献を駆使したものだが、とくにインド以東のアジアにおいては、漢訳仏典を媒介とする説話の東西交渉・伝播に注目すべきことを、欧米の学界に向けて発信するための基礎作業であった可能性が高い。 
増尾 伸一郎(東京成徳大学人文学部教授)

1956年生まれ。東京成徳大学人文学部教授。専攻は日本を中心とした東アジアの思想と文化。南方熊楠関係の主な論考として、「説話の伝播と仏教経典−高木敏雄と南方熊楠の方法をめぐって−」(大正大学中国学研究会『中国学研究』25号、2007年)・「南方熊楠の比較説話研究とW.A.クラウストン−“Popular Tales and Fictions”の受容をめぐって−」(『アジア遊学』144号、特集〈南方熊楠とアジア〉、2011年、勉誠出版)・「十三仏と十三塚−20世紀初期の日本民俗学形成期における言説をめぐって−」(渡会瑞賢編『十三仏の世界−追善供養の歴史・思想・文化−』、2012年、ノンブル社)・「『日本霊異記』の〈母の甜き乳〉と『雑宝蔵経』−南方熊楠「月下氷人」に導かれて−」(大正大学総合佛教研究所研究叢書第25巻『時空を超える生命−〈いのち〉の意味を問いなおす−』、2013年、勉誠出版)などがある。 
  
「南方熊楠と紀州田辺」 
 2004年7月、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界文化遺産に登録された。このうち、観光の目玉となっている「熊野古道中辺路ルート」については、約100 年前に繰り広げられた南方熊楠らによる神社合祀反対運動がなければ、世界遺産に登録できるだけの資産を維持できなかったものと思われる。
 現在では、この活動を評価され「自然保護の先駆者」と呼ばれる熊楠だが、彼が後半生を熊野の入り口である田辺の町で暮らしたことの意義は大きい。
 熊野古道をはじめとする田辺市や周辺地域の魅力を、熊楠の研究活動やその生活ぶり等と照らし合わせながら紹介したい。 
安田 忠典(関西大学人間健康学部准教授)

1967年大阪府生まれ。
大阪体育大学大学院体育学研究科修了。
関西大学人間健康学部准教授。
92年より南方熊楠邸資料調査に参加。南方熊楠顕彰会常任理事、事業部委員。
著書に『南方熊楠の森』(共著、方丈堂出版、2004)、『南方熊楠大事典』(共著、勉誠出版、2011)、など。
 
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