●南方熊楠邸
南方熊楠は1916(大正5)年からこの邸に住んで、菌類や植物、民俗学などの研究に打ち込んだ。敷地面積は約400坪(1334平方メートル)。元は田辺藩士の屋敷だった広い宅地を分筆したもので母屋、土蔵、貸家などがあった。書斎は、転居前に住んでいた借宅から移築した。
邸内には大きな楠や柿、みかんの木があり、顕花植物も数百種あった。柿の木から新種の粘菌を発見するなど、庭は研究園そのもので、お手伝いさんは落ち葉を掃除するにも気を遣ったという。
熊楠の没後、長女文枝さんが邸とともに、貴重や書物や文献、書簡、標本などを保全した。これらは文枝さんの亡きあと、その遺志で田辺市に寄贈された。傷みが激しかった建物は2006年、顕彰館の建設に合わせて熊楠存命当時の姿に復元改修された。
センダン
古くはオウチといわれ楝、樗の漢字があてられる。神島にも自生し、遠目に見るとフジの花のように美しいと熊楠は讃え、昭和4年、ご進講のあと「有難き御世に樗の花盛り」とその心境を詠った。また、臨終の床で「天井に紫の花が咲いている」と詩のような言葉を遺したが、それは夢うつつに現れたセンダンの花だろうといわれている。
クスノキ
楠の木は、熊楠が入居した時すでに庭園を覆うばかりにそびえていた。熊楠は自分の名文字とするクスをいつくしみ、訪れる人に自慢していた。
南方熊楠邸の四季の様子は
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玄関
母屋
書斎
母屋とは別棟で、熊楠はここで研究や筆者をおこなっていた。
土蔵
約25,000点の蔵書や標本・資料が収められていた。
現在は顕彰館の収蔵庫に収蔵されている。
土蔵内部
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